クラシカル・ホメオパシー

Monthly Archives:: June 2020

コロナ展望。その3

コロナ数字の独占を俯瞰する

家族の者や親しい人の死は、ほとんどの人が個人的体験として知っているし、その死のリアリティも具体的に感じています。それと違って、人の死を抽象的な数のメガネを通じてみるのは、殆どの人が慣れていません。そのため、その数字が実際に何を意味にしているのか、それが多いのか少ないのか、比較や判断するためのメジャーも持っていません。「コロナ死者」と比較できるように、これから長い説明を抜きに、ランダムにいくつかの別の死者数を紹介します。

新型コロナウイルス(2020年2月ー6月中旬まで)
PCRテストによって国内で確定された
感染者数:17,799人
死亡者:952人

熱中症:1.581人(2018年)
日本では2018年6月から9月の間に 95,137人が熱中症で救急で病院に搬送され、1.581人が熱中症でなくなりました。報告された報告されたケースや死亡者数からすると日本の「コロナ数字」に一番近い死因です。日本政府の、戦争のようなコロナ撲滅対策と比べ、気候危機対策は非常に甘くて、中途半端に見えます。

MRSA耐性菌感染:14,000 – 25,000人 (毎年)
年間の日本国内のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感染による死者は、14,000 – 25,000人に上ると推定されます。「医療施設調査・病院報告を利用した日本の一般病床の医療全体では、MRSA症例が年間約19万人、延べ約742万日の入院増加、約3483億円の医療費増加、約2万5千人の死亡数増加になることが推計された。」(京都大学の今中雄一教授の研究チーム、websitePDF新聞記事)。

肺炎:94.661人 (2018年)
高度医療システムを誇る日本でも、2018年に94,661人が肺炎で亡くなりました。ということは、平均して毎日260人ぐらいです。亡くなるのは主に年寄りです。高齢化社会で年寄りが年々増えているため、肺炎の死亡者がずいぶん前から毎年増えています。(PDFPDF)肺炎は全世界でも国内でも感染病の中で、第一の死因です。世界中で毎年に 2,500,000 人 – 3,000,000 人が肺炎で亡くなります。(PDFwebsite)WHOによる、新型コロナウイルス関連で亡くなった人の数は、これまで 450,000人弱となっています。

自殺:20,031人(2018年)
厚生省の統計による、国内で2018年に20,031人(=毎日約 55人)は自殺という形で自分の命を止めました。(厚生省の死因簡単分類別の統計、PDF

不慮事故:41,238人(2018年)
2018年に厚生省は交通事故、転倒、転落、墜落、溺水などの不慮事故でなくなった死亡者を41,238人と発表しました。(そのうちは交通事故:4.595人、 転倒・転落・墜落:9645人、,不慮の溺死及び溺水8,021人)。(厚生省の死因簡単分類別の統計、PDF

国内を出て、もっとグローバルな関連を見ましょう。6月中旬までWHO は450,000人弱のコロナ関連の死亡者を数えています。

栄養失調による死亡者:5,000,000 人(毎年)
国際連合食糧農業機関(FAO)によりますと、毎年に開発途上国では、大凡 5,000,000 人の5歳未満の子供が栄養失調に関連する原因で亡くなります。5歳以上の子供と大人はこの数字に含まれていません。(PDF

空気汚染による死亡者:8,000,000 人(毎年)
WHOのデートに基づいて、毎年に世界中で 4,200,000 人が屋外の空気汚染の理由で命を失います。それに加えって 3,800,000人が屋内の空気汚染で無くなります。(websitePDF)大気汚染の状況が年々に改善しつつある日本でも、空気汚染による死亡者数が毎年に 40,000人を上まると言われています。(website, PDF

新型コロナウイルスのコントロール対策による新たな貧困者:500,000,000 人
新型コロナウイルス対策の結果として、主に開発途上国で 500,000,000 人が再び貧困生活に堕ちるだろうと、国連大学の研究所が推計しています。別の観点から言うと、人類の貧困撲滅のための戦いと努力で獲得された進歩は30年間ぐらい後戻りします。(PDF

この大きな害を配慮し、上記の病気や事故の致死性を考えに入れると、今年の春に殆ど全世界が施した新型コロナ対策は常識や手加減が全く抜けていたとしか言いようがありません。ウイルスのパンデミックより、センセーショナリズムや誇張された報道によって広がったパニックのほうが危ないように見えます。

2020年7月の東京診療のお知らせ

東京での次回の診療日程が決まりましたのでお知らせします。
診療をご希望の方はメールまたはお電話にてご連絡ください。

【診察日】
2020年7月23日(木)ー  7月29日(水)

【場所】
東京都港区六本木 3丁目

【最寄駅】
東京メトロ日比谷線「六本木」駅徒歩6分
都営大江戸線「六本木」駅徒歩6分
東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅徒歩6分

*詳しい場所はご予約の際にお知らせします。

 

コロナ展望録。その2

間が抜けている数字

新型コロナウイルスの広がりが明らかになってから、全世界では毎日、死亡者、感染者の数が報道されています。オリンピックのメダル受賞数のランキングのように、感染者数の大小、あるいは死亡者数の大小で国や地域が並んでいます。この数字やランキングを通じて、我々に何を伝えようとするのでしょうか?コロナウイルスの危なさをアピールするものなのですか?それそれの国や地域の民度や政治家の頭の良さを表すものなのですか?

僕にとって、この数字のすべての関連、背景、コンテクストが一切抜けているので、まるで間の抜けた情報にしか見えません。そしてそういう数字を元に、自分の個人的態度、あるいは国レベルの対策を決めようとするのは、あまり賢明に見えません。間が抜けた数字を元にすれば間の抜けた対策しかとれません。

当然の話ですが、確定できる感染者数は実施されるテストの数に左右されます。テストに関するポリシーは国によって違います。たくさんのテストを施す国は、自ずとよりたくさんの感染者が見つかります。日本のようにテストを非常に消極的に行う国は、確定される感染者が当然少ないのです。

現時点の感染を確定するために、唾や痰の中でウイルスのDNAの部分が存在するかどうかを調べるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応、polymerase chain reaction)テストが使われています。あまり話題になりませんが、利用されているテストのほとんどは、通常の認証プロセスを抜きにした非常に早い商品化のため、正確さに欠けています。例えばアメリカのホワイト・ハウスの御用達のテストキットは 30-45%の不正確さの疑いがあると、5月中旬に FDA が、ニューヨーク大学の研究結果に基づいて、注意を勧告しました。
PDFPDFPDF)。

コロナ死者の定義とその数え方についても、国によって、大きな違いがあります。死ぬ前あるいは死んだ後に陽性と検出された死者だけを数えるのか、あるいはコロナウイルスの流行の中で、コロナで亡くなった疑いのある死者も数えるのか、もしくは広義に捉えてコロナ「関連」で亡くなった人を数えるのか、定義は国によって違います。病院で死んだ人、自宅で死んだ人、施設で死んだ人の数え方も国によって、異なる法律、ルールや習慣があります。

新型コロナウイルスの流行の特徴をもっと理解するためには、感染者、死亡者の数字だけでなく、少なくとも以下のデータもみんなさんに周知すべきだと思います。PCRテストで感染陽性が確定された人のうち、何人がその感染に対して無症状か、何人が軽症で乗り越えたのか、何人が重症になってから回復したのか。そして致命的に終わった場合、亡くなった人の年齢と感染前の健康状(持病、基礎疾患)をもっと知るべきです。こういう情報なしに、新型コロナウイルスの危なさは測れません。

政治家やメディアが勝手に決められる、異なる定義、数え方や数字の公表の方法とは別に、コロナウイルスの実態は、数字では掴みにくいところがあります。というのは、感染者の大半は、その感染を無症状ないし風邪に似た軽症で乗り越えます。無症状や軽傷の感染者は病院に行かず、検査も受けないため、どの統計にもデータがあがってきません。統計に上がるのは、病院の手当てを求めて、そこでテストを受けた人たち、あるいは、クラスター追求によって発見された人たちだけです。他の感染者はPCRテストによる検査のレーダーに引っかからないのです。そしてPCRテストが今の時点で感染しているということしか確認できませんので、過去に感染したことのある人口も把握できません。言い換えれば、新型コロナウイルスの実際の広がりを把握するためにあまり役に立っていない道具です。

無症状や軽症で感染を乗り越える人の数は、過去に感染したことがあるかどうかを確定できる「抗体テスト」や数学的モデルによる推測を応用して、計算してみるほかありません。ある限られた地域の総感染者数を調べてみる研究を見ますと、実際の感染者の人数はこれまで確定感染者より何十倍も大きいようです。いくつかの例を挙げます。

これまで確定された患者数と、推測される感染者数の差について。

神戸市(5月3日)396倍(論文、4ページを参照論文)
イギリス(5月8日)150倍(論文、1ページを参照論文)
ジェネーヴ、スイス(5月6日)10倍(論文、186行から参照)
スペイン(5月13日)10倍(論文
全世界(6月7日)30倍(論文、17ページを参照)

それそれの数字の大きな差は、新型コロナウイルスの実際の広がり方がどれほど数字的に掴みにくいかを物語っています。

兎も角、新型コロナウイルスは多くの場合、静かに症状を起こさず、気がつかないままに広がっているので、どれほどロックダウン、衛生、他者との距離を離して頑張っても、全滅できるような収束はありません。好き嫌いは別にして、新たなウイルスとして、われわれと一緒にこの地球で共存することになりました。

生物学者の福岡伸一が朝日新聞のために書いた記事(PDF)の中で、ウイルスが人間を病気にさせる力によって、個人の免疫系を新しい平衡状態(バランス)を求めるようにさせ、そして「生態系全体の動的平衡を促進する」役割を果たしている、と説明しています。大変面白い記事なので、お勧めします。

「かくしてウイルスは私たち生命の不可避的な一部であるが ゆえに、それを根絶したり撲滅したりすることはできない。 私たちはこれまでも、これからもウイルスを受け入れ、共に動的平衡を生きていくしかない。」