クラシカル・ホメオパシー

Monthly Archives:: September 2020

お知らせ:LIVING HOMEOPATHY 第4回勉強会


去年11月に発足した勉強会、 LIVING HOMEOPATHY (link)の4回目の講座を案内します。今回は二日間をかけて、ホメオパシーによる急性疾患の手当てを学びます。申込締め切りは11月15日(日)です。今回は、オンラインでの参加も可能です。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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「救急医療に生かすホメオパシー」

1日目)2020年11月21日(土)10:00 – 18:00
2日目)2020年11月22日(日) 9:00 – 17:00

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一般的に、ホメオパシーは、体調改善を通じて時間をかけながら、ゆっくりと慢性的な不調を治すような治療を得意とする療法だ、というイメージが強いですが、実は急性的不調の処置や手当にも用いられる、即効性に優れた医療でもあります。

人の健康が突然、非常状態に陥ったとき、レメディーの摂取が早ければ早いほど、ダメージが少なく、回復までの時間も短くなります。しかし、緊急事態においても冷静を保ち、落ち着いて対応しながら、正しいレメディーを処方することは容易ではありません。アクシデントの多くの場合、本人や周りにいる人が混乱し、ゆっくりと様子について聞き取りができない中で、ホメオパスはどのようなアプローチで今、必要なレメディーを決めればいいのか。そしてレメディーの処方以外に、緊急状態を和らげるために何をできるのか?

ウォーミング・アップ・レクチャーとして、家、レジャー、スポーツの間に起こりやすい怪我や傷の手当を教えます。その後、さらに重症の救急状態をテーマにします。事故、ショック症状、ギックリ腰、熱中症、喘息の発作、蕁麻疹やアナフィラクシー、そして心筋梗塞や脳梗塞まで、幅広くホメオパシーによって可能な救急処置を学びます。

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【時間】
2020年11月21日(土)10:00 – 18:00
2020年11月22日(日)9:00 – 17:00

【開催場所】
foodelco inc./ミーティングルーム
京都市上京区信富町 298

【参加費】
¥ 55.000(税込)

【申し込みメール】
living@ew-homeopathy.net

申し込みの際、メールで以下の内容を送ってください
①名前(ふりがな)
②生年月日
③郵便番号
④住所
⑤電話
⑥メールアドレス
⑦初めて参加する方は、ホメオパシーに関する経歴/卒業年度と学校名、開業の有無、師事した先生など、ホメオパシーをどのように学んだかについて、簡単に記載してください
⑧参加の動機/本講座を参加したい理由を教えてください。
⑨オンラインでの参加希望の場合は、必ずその旨お知らせください 

コロナ展望録。その4

COVID-19とインフルエンザの比較について

知らないものに初めて出会うと、人はそれを理解、把握するために、前から知っているものと比較します。新型コロナウイルスとそのウイルスが引き起こせるCovid-19という疾病との比較対象として、一番よく使われているのは「インフルエンザ」です。ところが比較の結果を聞くと、その結論の違いに驚きます。「よく似ている」と言う人もいれば、「大いに違う」と言う人もいます。なぜこのような正反対の結論になるのでしょうか?

一番の原因は、単純です。インフルエンザは皆にとって、身近な病気です。殆どの人はインフルエンザに罹ったことがありますし、毎年身の回りに起きている病気として認識しています。多くの人々が「インフルエンザはこういう病気だ」という既成概念を持っていますが、実は違います。インフルエンザウイルスは、常に変異を繰り返しています。ですから、一口にインフルエンザといっても、地域や季節によって、流行り方や厳しさが大きく違うのです。となれば、コロナをどんなインフルエンザと比べればいいのでしょう?ある地域に限定的に流行る(=エンデミック)インフルエンザか?全世界に広がる(=パンデミック)インフルエンザなのか?風邪に近い症状しか起こさない、マイルドなインフルエンザ?あるいはたくさんの死亡者と重症なケースを引き起こす厳しいインフルエンザ?比較対象によって比較の結論が違ってきます。近代のパンデミックインフルエンザや季節インフルエンザの深刻度のレベルの違いについては、ここをみてください。数字のばらつきを見ると、病気の危なさや深刻さは科学にとってどれほど把握しにくいものかがよく分かります。他のパンデミックの比較については、ここを見てください。

パンデミック・インフルエンザの場合、「不確実性の確実性は唯一の確実性」みたいです。「パンデミック・インフルエンザについて私たちが知っていることはたくさんありますが、私たちが知らないことはもっとたくさんあるようです。…インフルエンザのパンデミックはさまざまな遺伝的メカニズムの結果として発生し、さまざまな年齢層の間での死亡率の予測可能なパターンがなく、発生および再発の様子と時期が大きく異なります。… 最近の数十年で、パンデミック・インフルエンザは、多数の予期しないイベントを生み出し続けながら、科学的知識の基本的な空白を露呈しています。」(PDF

最近になって、もう一つの極めてややこしい要因がインフルエンザと新型コロナウイルスの比較を混乱させています。以前から、インフルエンザが活発に流行る地域では、一時的な休校がありましたが、今回のような、ほぼ全世界をロックダウンや鎖国状態にさせる極端な政策はありませんでした。インフルエンザと比べて、新型コロナウイルスの危険度やCovid-19の深刻さとがインフルエンザと全く違う次元なら、その厳しい政策は正当化できるかもしれません。しかし新型コロナウイルスの危険度が、インフルエンザウイルスとそんなに大きく違わなければ、たくさんの鈍才な政治家がとんでもない過ちを起こしながら、世界を大変な危機に落としてしまったという結論になります。Covid-19とインフルエンザの比較は、もはや健康と医療の分野から離れた、政治家のどんぐり比べの分野に入りました。

実は中国以外の国でテーマになってまもなく、新型コロナウイルスとインフレンザの深刻さについては両方の考え方がすでにありました。

ビル・ゲイツ(Bill Gates)が2月の終わりに、Covid-19の流行を「典型的な季節性インフルエンザよりも数倍深刻で」ある、「100年に一度のパンデミック」と特徴付けました。(PDF)それと似たようなノリで、世界保健機関(WHO)が3月の初め頃にCovid-19の危なさを以下のように語っています。「世界的には、報告されたCovid-19症例の約3.4%が死亡しています。比較として:季節性インフルエンザは一般に、感染者の1%よりはるかに少ない人数が死亡しました。」(PDF

他方、ほぼ同時に、3月の中旬に、スタンフォード大学の疫病予防と保健研究の教授を務める医学界の世界的な大物、ジョン・P・A・ヨアニディス(John P.A. Ioannidis)はビル・ゲイツと対照的に「100年に一度のエビデンス混乱事件」を戒めます。「政策の大失態 ー コロナウイルスのパンデミックが広がる時に、我々が信頼できるきちんとしたデータが欠如したまま、大事なことを決定する」というタイトルの論文に以下のように書きます。「世界保健機関が公式に(Covid-19の)致死率を3.4%として報告しました。こういう発表は、恐怖を引き起こすだけでなく、それは意味のない数字です。」なぜ意味がないのかを簡単に説明しますと、致死率(IFR)は、感染したケースの中で致命的な結果になった割合いを表す数字です。死亡者の人数をある程度把握できても、3月の時点で感染者の実際の人数は知ることは非常に困難でした。当時、唯一の完全なるテストモデルとして研究対象となったのは、限られた個体群(ポピュレーション)の(日本で大きな話題になった)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(Diamond Princess)の乗客たちでした。感染した乗客者の感染者数と死亡者数をもとに、ヨアニディスは、Covid-19の致死率を(アメリカのポピュレーションにおいて)0.05% から1%の間と予測します。(PDF)その数字は、武漢市における新型コロナウイルスの広がり方を研究した京都大学の水本憲治が早期に発表した致死率(0.04%-0.12%)に相当する数字です。(PDF

5月中旬にヨアニディスの研究チームはこれまで世界中の色々な国で行われた50本の検査を基にして、再びCOVID-19感染致死率を計算しました。「ここで得られた感染者致死率の推定に基づいて、COVID-19は7月12日の時点で、これまでPCRテストで確認された 1,300 万人より、うんとたくさんの約 3億人(もしくはそれ以上)が感染している可能性があります。世界的なCOVID-19の死亡者数は依然として増加していますが、季節性インフルエンザによる典型的な死亡者数(290,000~650,000)とそれほど変わらないものです。インフルエンザが深刻な年(たとえば1957-1959年および1968-1970年)には、インフルエンザ関連の死者数を100万ー400万人と考えています。」(PDF)7月の終わり行われたインタビューでヨアニディスは自分の意見と研究について分かりやすく語ります。(PDF

3月以来、他のたくさんの研究や推定が発表され、どちらかというとCovid-19の致死率がインフルエンザと似たようなものとして計算されることが多くなりました。もっと詳しく知りたい人のため、Covid-19の致死率についてのたくさんの研究をまとめる、大変参考になる、英語のウェブサイトがあります。
Studies on Covid-19 lethality

具体的な死亡者数も見ましょう。日本で数えられたCovid-19の死亡者は(2月から9月の初め頃までに)1,500人弱です。日本の厚生省の推計によりますと、毎年平均的に国内でインフルエンザで亡くなる人は約1万人です。「直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は …. 日本で約1万人と推計されています。」(PDFPDF

ドイツはどうでしょうか?ドイツの保健省のロベルト・コッホ研究所(RKI)が発表している数字は以下の通りです。これまで(9月中旬)報告されている新型コロナウイルス関連で亡くなった人は 9,500人 弱です(検査確定と疑いのケースの合計)。RKIの保守的な超過死亡の推計によって、2016-17年の冬のインフレンザで亡くなった人は 22,900人で、2017-18年の冬のインフレンザで亡くなった人は 25,100 人です。(JPGPDF(p.47)

リスクアセスメント(リスク分析と評価)を研究対象にするハーディングセンターが、ドイツで2020年に推定できるCOVID-19の死亡数と症例数を基にして、COVID-19の危険性と過去の病気の発生および日常的危険(インフルエンザ、医療ミス、心臓病、交通事故など)を比較し、それぞれのリスクを、満席になったの1万人のサッカー競技場に置き換えて、非常にわかりやすい図でまとめました。

フランクフルト国際空港も担当している、フランクフルト市の保健所長を務めるレネ・ゴットシャルク(René Gottschalk)は6月の終わりごろにFAZ新聞のインタビューで以下のように語っています。
「ドイツでは今のところ、パンデミックだともうほとんど言えません。フランクフルトでは、2020年2月1日以降、現在まで1,750人のCOVID-19の病人が報告されています。インフルエンザの流行と比べて非常に少ないです。コロナは、激しいインフルエンザの流行と比べられますが、2017年-2018年のインフルエンザでは、ドイツ全体で25,000人が死亡しました。それはまるで違う次元です。当時、フランクフルトの病院ではすべての人工呼吸装置が占拠されていました。コロナはそういうことは一度もありませんでした。80%の人は新型コロナウイルスと非常にうまくやっています。彼らはインフルエンザっぽい感染症状を示しています。風邪を引いている人もいれば、まったく問題がない人もいます。20%は本当の病気を患っており、おそらく1%未満が死にます。インフルエンザの流行とは異なり、若者がCOVID-19で死ぬことはほとんどありません。」(PDF

COVID-19とインフルエンザの一番大きく目立つ差異点は、重症ケースと死亡者の年齢層です。インフルエンザは昔から、子供と老人にとって重症化する可能性があるのに対して、COVID-19は子供や若い人にとって全く危なくないのです。COVID-19の関連で命を失う人の平均的年齢は、どんな国を見ても、その国の平均的寿命に近い年齢層です。

時々、インフルエンザとCovid-19の大きな違いとして、その後遺症(心臓、脳、血管、肺など)の深刻さが上げられていますが、こういう後遺症はCovid-19の特徴ではありません。臨床経験が豊かな医者なら、誰でも分かることですが、インフルエンザだけではなく、ウイルスによる感染病が重症化した時に、元々の感染が治っても患者が長い間に後遺症に悩みながら、完全な回復がかなりの時間かかる可能性があります。その上に集中治療室(ICU)で治療を受けたとき、重たい治療からくる(医原的な)後遺症の回復も非常に長い時間かかる場合もあります。

新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスは違うウイルスですが、そのウイルス達が引き起こせる病気の病理において違うところがあっても、その危なさや深刻さは類似しているものとして十分比較できます。

ドイツと日本のように、インフルエンより、新型コロナウイルスによる病人や死者がうんと少ない国はたくさんあります。しかし、COVID-19が季節インフルエンザより深刻に流行って、よりたくさん犠牲者が出る地域もあります。例えばイタリアの北部。イタリアで起こってことについて、近いうちに書きたいと思いますが、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの差異点と共通点についてもう一つの大事なテーマがあります。次回は「閉じ込めるのが不可能なインフルエンザウイルスと、閉じ込めなければならない新型コロナウイルス」について考えてみます。