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2014.03.29

クラシカル・ホメオパシーの特徴 2

ーー セッション(診察)の行い方 (その2) ーー

さて、患者個人の診察のため、ホメオパスにはどういう姿勢が必要なのでしょうか。それはできるだけ白紙になって、「耳」になることです。質問で何かを聞き出すというより、患者を主人公にして、語らせて、その話を聞くのです。人はそれぞれ違います。そのための欠かせないのは、ハーネマンが言うところの「先入観のない虚心坦懐な心構え(Unbefangenheit)」、「健全で顕然たる感覚(gesunde Sinne)」、「丹念で注意深い観察(Aufmerksamkeit im Beobachten)」です。(Organon § 83)。

クラシカル・ホメオパシーのセッションでは、充分な時間を以て、こういう姿勢で患者に向かいあい、話を聞きながら診察するのを基本としています。ハーネマンは、このような話し合いによる診療の行い方を、Organon (オルガノン)の § 82-90 のなかで細かく説明しています。

そのなかから一カ所を例として挙げましょう。「患者は、自分の不調や症状の移り変わりを訴える。親戚や周辺の人たちが患者の述べる苦痛、そのふるまいや患者のことで気づいたことを語る。医者は、目で見て、耳で聞き、そしてほかの感覚も動員し、患者に何が変わったか、何処が異常なのかを感じとる。すべてを正確に、患者や家族が使ったのと同じ表現で書きとめる。できるだけこちらから言葉を挟むことなく、話が自然に終わるまで患者とその家族に語らせる。全く無関係な話題でない限りは、話を遮ってはいけない。…言葉を挟むと、そのたびに必ず、話している人の考えの流れを遮ってしまう。一度遮ると、そもそもどういう風に話そうとしていたのか、すべてを正確に思い出すことはないからである。」(Organon § 84 より)

とは言っても、一日中何回も白紙になって、それぞれの人の話を素直に聞きながら、その調子を感じ取るというのは容易なことではありません。なぜならば、生きる上で人間万国共通の一番大きな傾向の一つが「便宜」や「慣性」だからです。「何とかして、もう少し便利で合理的で楽にならないかな」という考えがよぎることは、人間ならだれでも良くあります。ホメオパシーの医師たちも例外ではありません。時代とともに、ホメオパシーの診察をより便利に、より合理的にする色々なコツを考えてきました。

例えば、患者の心身的調子を聞き出す順番を決めて、マニュアルを作り、それに従って診察を行う。あるいは(マルティプル・チョイスの)アンケートを用いて、患者にそれを記入してもらい、そこから本人の調子を伺う。こういった簡略的な診療方法がたくさんあります。最近とても人気があるのは、PCソフトに合わせて診察を行い、自動的にレメディーを決めてもらうやり方です。西洋医学の専門医と同じように、自分の前に座る患者の顔をあまり見ないで、PCの画面を見ながら、診察するホメオパスの話も聞くようになりました。

もっとひどいところだと、診察にエネルギー測定修正システム(例えば QX-SCIOマシンやネス・プロビション・システム)というような機械を取り入れて、その機械のデータに基づいてレメディーを決めるところもあります。この方法は、機械に依存しすぎている従来の西洋医学の下手な真似のようにしか見えません。機械では個人化する診察は無理です。生きている人間を個人として診察できるのは、他の個人(医師という生きた人間)しかありません。

同じ理由で、電話のセッションやメールのやりとりだけに基づく診察にも限界があります。ホメオパスが個人のセッションからよく知っている患者であれば、急性な病気の場合などは電話で対応できます。でも初めから電話だけの相談を頼まれた場合、僕は殆どお断りしています。

やはり正しいレメディーを決める為には、患者と医師がお互いに顔を見ながら、フェイス・トゥ・フェイスの話し合いが不可欠です。顔と顔を合わせて話し合わずに、成果のある診療に必要な信頼関係は生まれません。

何らかの機械的な媒介による、あるいは決まったマニュアルに従ってセッションを行うホメオパスたち、「何らかのメソッドによるホメオパシー」というコンセプトを挙げているホメオパスたちは、ハーネマンが提示した原点である、クラシカル・ホメオパシーの診療の方法から随分離れています。どれほど効率化が叫ばれる時代にあっても、クラシカル・ホメオパシーのセッションの方法には、ハーネマンが説明したような、マニュアルのないメソッド、その都度目の前にいる個人に添う、個人と個人の話し合いによるセッションしかないのです。