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バーネットがホメオパスになった、第一の理由
''It may sound oddly, but it is true, in many cases, that if men had learned less, their way to knowledge would be shorter and easier. It is indeed shorter and easier to proceed from ignorance to knowledge than from error. They who are in the last must unlearn before they can learn to any good purpose and the first part of this double task is not in many respects the least difficult; for which reason it is seldom undertaken."
奇妙に聞こえるかもしれませんが、多くの場合、人々はより少なく習っていた場合、知識への道はより短く、容易になっていたでしょう。実際、無知から知識へ進むほうが、誤りから知識へ進むよりも短く、容易です。誤りの中にいる者たちは、何か有益なことを学ぶ前に、まず習ったことを捨て去らなければなりません。そしてこの二重の課題の最初の部分は、多くの点で決して容易ではありません。そのため、めったに着手されることはないのです。
(ヘンリー・サンジョン・ボリングブルック(Henry St John Bolingbroke, 1678 – 1751)啓蒙の政治家と思想家)
上記の引用は、バーネットが「Fifty reasons for Being a Homeopath (ホメオパスであるための50の理由)」という本の題辞として選んだ言葉です。本人がいちどアロパシー医学を学んだ後に、ホメオパシーに着手したという道を暗に示しています。
「ホメオパスであるための50の理由」は、バーネットの多くの著作の中で、最も有名かつよく読まれている、そしてホメオパスならば誰でも読むべき本です。バーネットはあるディナーパーティーで、従来の正統派の医学の勉強に洗脳された、ホメオパシーを全く認めない医学生の甥っ子と大喧嘩しました。その後、この甥っ子とバーネットの間で文通がありました。甥っ子宛てに書いた手紙の中で、もともとアロパシー医学を習っていた自分がどうしてホメオパスになったのか、そしてなぜホメオパシーが普通で一般的な(regular)医学より優れていると思っているのかを、50の具体的な症例を挙げて表明しています。

その最初の、そして一番長い手紙の中で、自分が何をきっかけにホメオパシーに興味を持ち始め、アロパシー医学の医者からホメオパシーの医者に転向したのかについて、鮮やかに語っています。この手紙から抜粋して紹介します。
バーネットはかつてアロパシー医学の優等生でしたが、その勉強の一部として、Barnhill Parochial Hospital and Asylumという、当時グラスゴーで一番大きな孤児院と貧民院の付属病院で2年間(1872年から1874年)勤務しました。初めての医療実践は、予想外に、ほとんどが暗い経験になりました。重くしんどい気分にたびたび襲われたとバーネットは回想しています。この暗い気持ちは「本質的には、私が携わっていたおもわしくない臨床結果から生まれたものです。私はもともと大変熱心な医学生でしたが、あからさまに懐疑的な教授が私の医療への信念をすっかり台無しにしてしまいました。そして自分の年齢と経験に相応しくない病院での過労と重責が、熱意のほとんどを私の心から絞り出してしまったのです。」(p.1)
「ある味気ない陰鬱な午後 …… 病院の事務所で死亡証明証の発行に追われていた時に」(p.1)、またこの絶望感に襲われました。外を見ると、病棟の窓から一つの棺桶が外へ運び出されるのに気がつきました。「誰が死んだの? ー リトル・ジョージです。」(p.2)リトル・ジョージは親戚のいない孤児で、ずっと施設で暮らしていた、誰にでも好かれるかわいらしい男の子でした。何日か前に小児病棟の患者が急に増え、リトル・ジョージをいつもの暖かい場所から、冷たい窓際のベッドへ移さなければなりませんでした。彼はそこで風邪を引いて胸膜炎になり、そのことが理由で亡くなったのです。

「私は心の中で考えました:あの窓際での寒気から来る最初の熱を止められていたら、ジョージはおそらく生きていただろう。病院では、私以外にも3人の医師がジョージを診ていたし、スタッフ全員も協力した。それでも胸膜炎になり、胸膜炎の後に水腫が続き、かわいそうなリトル・ジョージは亡くなってしまった。…… ジョージはもういない。私は、彼は死ぬ必要はなかったと痛感しました。そしてこの思いは、ほとんど私を大地に押し潰しました」(p.3)
バーネットは、もともと畑を耕すことが好きでした。医者の仕事を諦め、アメリカへ移住し、百姓になろうと心の中で考え始めました。「少なくとも、そこで健全で自然な生活を送ることができるはずです。」(p.4)
その日の夜、晩御飯を食べながら、グラスゴー王立病院の医者の友人に自分の絶望と迷いを打ち開けると、その医者はバーネットにホメオパシーを勉強することを勧めました。「彼は私にまずホメオパシーを学び、それを反駁するか、もしくはそれが真実らしければ、病院で試してみるように説得しました。多くの疑念と恐れを抱えながら 、まるで犯罪を企てているかのように」(p.4)バーネットは、勧められたホメオパシー入門の本を買いました。
「1~2週間でその要点をマスターし、これらを考察して、ホメオパシーは……善良で明白な神の真理か、ただの黒い嘘のどちらかに違いないという結論に達しました。」(p.4-5)本を読みながら、そこに漂う精神がバーネットの心に希望を植え付けましたが、最終的には「私の古い、昔からの懐疑心」が勝ちます。「そんなことがあり得るのか?いや、不可能だ。私はいろいろな大学で育てられ、そこで誠実で立派な人々から、ホメオパシーは治療的なニヒリズムだと教えられてきた。いや、私はホメオパスにはなれない。病床でホメオパシを試しに使ってそれが嘘っぱちの詐欺だと証明し、尊敬する医療界にそれを暴露してやろう!」(p.5)と確信しました。
リトル・ジョージの死に方のせいで、バーネットは発熱の治療に非常に興味を持っていたため、寒気による発熱にホメオパスたちがどういうレメディーを使うのかを調べました。「そこでホメオパスの言説を調べたところ、Aconitum で単純な発熱を短くすると主張していることがわかりました。もしそれが本当なら、Aconitum を発症時に処方していれば、リトル・ジョージを救えたかもしれません。」(p.5-6)
そこでバーネットは実験することを決めました。数滴のAconitumのティンクチャーを水に入れた大きなボトルを小児病棟の看護婦に渡し、それを病棟の片側のベッドのすべての子供に、彼らが運ばれてきたら診断なしに、無差別的にすぐ処方するように指示しました。そして病棟の反対側の子供達には、Aconitumのレメディーを飲ませずに、これまで通り通常の、公認の正統な方法で治療されるように指示しました。
「次の朝の訪問時に、Aconitum側のほぼすべての若者たちは熱が下がり、ほとんどがベッドの上で遊んでいました。….残りの者は1日か2日そのまま留まり、その後に元々来たところに戻されました。… Aconitum なしの正統派の治療側の子供たちはより悪化しているか、あるいは改善していない状態のままで、その後、病院に送られなければなりませんでした。主に局所的な炎症、カタル、麻疹などで。 … そしてそれは日々、毎日そのように続きました:Aconitumを投与された子供たちは、24時間から48時間で大体回復しました。」(p.7)
「しばらくの間、私はただ唖然としていました。そして夜の時間の大部分をホメオパシーの勉強に費やしました。日中は時間がなかったのです。… ある日、私は通常の病棟訪問ができませんでした。….日曜日と月曜日を不在にしたのです。次の早朝にその小児病棟に入ったとき、看護婦はやや静かな、ある種強いられたような従順さを持って、全ての子供を退院させてもよいかもしれないと思うと私に伝えました。 … ああ、そうですか?どうしてそうなったのですか? ー ええと、先生、日曜日と昨日あなたが回診に来なかったので、私は子供たち全員にあなたの解熱薬を処方しました。実は、もうこれ以上あなたが残酷な実験を続けるのを見ていられませんでした。あなたはここに来るすべての若い医師と同じです。ただ実験をしているだけなのです! ー 看護婦さん、よくやりました。これからは、入院してくる子供たち全員にその薬を飲ませてくださいと、しか答えられませんでした。」(p.8-9)
発熱に対する Aconitum の効果が、私がホメオパスになった第一の理由でした。そして今でも第一の理由です。あなたが「正統派」の医師であるための、このように正当な理由がありますか?」(p.10)

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