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クラシカル・ホメオパシーの特徴 1
ーー レメディーのポテンシーの幅をどう考えるか? ーー
ホメオパスの役割はレメディーの種類を決めるだけでなく、そのレメディーのポテンシー(希釈度のレベルによるレメディーの強さ)や飲む頻度も決めなければならなりません。
多くの場合、必要なレメディーの種類を探すよりも、適正なポテンシーを選び出すほうが難しいのです。研修時の診療所では、先生に「この人には低すぎる」、「あの場合には高すぎる」と何回も訂正された事をよく覚えています。ポテンシーがあまりにも合わないと、正しく選ばれたレメディーも効果が出ず、場合によっては望ましくない逆効果を起こします。
治療に使うべきポテンシーに関しては、ホメオパシーの流派の間で、随分と意見が分かれるところです。「高いポテンシー」あるいは「低いポテンシー」を示す数字も、実は流派によって答えがまるで違うことがあります。
この論争はハーネマンの現役時代まで遡ります。というのは、ハーネマンが「希釈によってレメディーの副作用が減り、その効き目が確実に増す」というレメディー作りにおける根本的な原理を発見した当時は、当然のことながら、比較的低いポテンシー(希釈度)でした。しかしそこに留まらず、臨床経験を積み重ねながら、さらにホメオパシー医学の改善を求めた研究熱心のハーネマンは、次第に、より高いポテンシーの利用をホメオパシーに導入しました。そこで当時のホメオパスたち(ハーネマンの弟子たちも含めて)は二つの選択肢に迫られました。 ホメオパシーの創立者である自らの師の新たな発見や、師が唱える改善に素直に従うか。あるいはこれまでの、低いポテンシーだけを使うホメオパシーが充分に効果的だと強調して、ハーネマン先生の改善を正しくないやり方として拒否するか。レメディーをこれまで以上に希釈しようとするのは、ハネーマンの老人惚けの表れではないか、と言う批判もあったそうです。しかしハーネマンは79才の高齢で34才のフランス人のMélanie d’ Hervillyと再婚して、パリに移ってからも、元気に治療を続けながら、レメディーのポテンシー研究をずっと続けました。晩年には、特にLM- ポテンシー(1対5万の割合での希釈)の開発と臨床的検証に取り組みました。
そんな訳で、ハーネマンの提唱を重んじるクラシカル・ホメオパシーでは、治療に使うポテンシーの幅を前もって制限しません。存在するポテンシーのすべてから、ホメオパスが診療する症状やクライアントにベストなポテンシーを選ぶべきだと言うのが、クラシカル・ホメオパシーのスタンスです。全く希釈されていない、元の素材から抽出されたエキス(マザーチンクチャー)を処方することもあれば、1対100の割合で100万回に希釈された「MM」ポテンシーを薦めることもあります。どういうポテンシーが病人を一番助けるかは、流派の教えや習慣によって決めるのではなく、あくまでも患者さんのニーズによって、病人の症状の重さ、体調、精神状態などを診ながら、そのつどそのつどに選択すべきです。使えるポテンシーを限定するというのは、ホメオパシー医術の可能性 を制限することなのです。ホメオパシー医術の力を病人のために最大限活かすため、クラシカル・ホメオパシーはあらゆるポテンシーを利用しています。
ポテンシーの選び方と深い関係にあるので、ここで、ちょっと「好転反応」(一時的な症状悪化)について触れたいと思います。日本でホメオパシーの話をすると、殆どの場合「好転反応」が話題になります。多くの人が、ホメオパシーは「好転反応」と言う一時的な症状悪化を通じて、病気を治すという治療法 だ、というイメージを持っているみたいです。「好転反応」があると言うことが、レメディーが効いている証拠だ、という話は、日本人のホメオパスの口から聞いたこともあります。どういう訳で、こういう印象や思い込みになったかは、全く知りませんが、それは間違いだと、はっきりさせたいです。
ホメオパシー治療が目的とするのは、病人の「できるだけ早い」、そして「穏やかな」、「最も負担が少ないやり方」での健康回復です。できるだけ優しく穏やかに 回復させるのが理想なので、苦痛をもたらすような症状悪化ができるだけ起こらないように、レメディーを選ぶのは当然のことです。もちろんたまには、「好転 反応」をどうしても避けることができない場合もありますが、殆どの「好転反応」の原因は、誤ったポテンシーの選択にあります。症状悪化や「好転反応」の多 いホメオパシー治療は、ホメオパスの腕の拙さを物語っています。「好転反応」のない(あるいは少ない)治療の進め方こそが、ホメオパスの腕の良さを示すものなのです。
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