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新型コロナワクチンの効能・効果について
コロナ展望録。その11
新型コロナワクチンの接種キャンペーンを張る理由はどこにあるのか、もう一度思い出してみましょう。一般的には以下のように言われています。すなわち、新型コロナウイルスへの感染によって、重症化し、死に至るケースが多いので、死亡者数を減らし、医療システムの逼迫を避けるために、広くワクチン接種が必要である、という主張です。
今回、新しく開発されたワクチンがこの目的にどの程度貢献できるのか、ワクチンの出来栄えはどの程度のものなのか。国が公に発表したデータや資料を元に考えたいと思います。(ワクチンキャンペーンが進んでいる他の国々の様子から見えてくることについては、また別のブログで書くつもりです。)現段階で日本で提供されている三つのワクチンの基本的なデータは、大まかに見れば大差ありませんので、このブログではファイザー社のデータを手がかりにします。
2021年2月8日に厚生労働省に属する独立行政法人医薬品医療機器総合機構がファイザー社コミナティ筋注の有効性と安全性について「特例承認に係る報告書」(PDF)を提示しました。ワクチンの有効性及び効能や効果について、専門委員による審議結果が5項目に分けられ、62ページある報告書の終わり近くで統括的に発表されています。(報告書 p.56, 57)ひとつずつ引用しながら、少し説明を加えたいと思います。
(1) 「海外C4591001試験について、長期の有効性データは得られておらず、VEの結果は2回目接種後短期間のデータであることは医療現場に情報提供する必要がある。また、長期の有効性データは引き続き収集するとともに、有効性の持続期間が明らかとなった場合は、追加接種の要否についても検討する必要がある。」
ワクチン接種によって誘発される、コロナウイルスに対する特異免疫が持続的なものであるのか、またはどの程度の持続性があるのか、何もわかっていない、ということです。長期の有効性については、現在接種している人々を対象に引き続きデータ収集する必要があります。
(2) 「SARS-CoV-2変異株について、現時点で得られているin vitroのデータは、海外C4591001試験で認められた本剤の有効性を否定するものではない。一方で、今後新たな変異株の出現も想定されることから、変異株の出現状況及び流行状況は継続的にフォローアップし、変異株を用いた in vitro 中和試験等を実施し、新たな知見が得られた場合は医療現場に情報提供するとともに、状況に応じた措置を検討する必要がある。」
ごく当たり前のことが書かれています。インフルエンザウイルスと同様、コロナウイルスも絶えず変異し続けているため、将来どんな変異株が生じるのか予測不可能です。ワクチン接種によって獲得できる免疫系がどれぐらい継続するのかについても、誰も知ることができません。
(3) 「本剤のCOVID-19重症化抑制効果は、臨床試験の結果からは十分な情報が得られていない。しかしながら、本剤の COVID-19 発症予防効果により発症者数が低減することで、結果的に重症者数や死亡者数の低減につながる可能性は期待できる。」
ブログの冒頭で確認したように、ワクチンキャンペーンの一番大きな理由の一つは、新型コロナウイルス感染症の重症化と死亡者を減らすところにあります。が、ワクチンがそれに効果的であるかどうかについてはっきりしたことが言えないのは事実です。仮に何らかの効果があったとしても、ここで記されている通り、それらの減少に「つながる可能性は期待できる」という可能法的な言い方しかできません。肝心なところで厚労省の専門家の評価があまりにも低いことについては、その背景を中心に、後でもう少し考えたいと思います。
(4) 「本剤のSARS-CoV-2感染予防効果は、臨床試験では評価されていない。本剤を接種した場合であっても、感染拡大防止のため、密集、密接及び密閉の回避、手洗いや咳エチケット等の基本的な感染予防対策は継続して行う必要があり、この点は医療従事者及び被接種者にも伝えるべきである。」
ワクチン接種によって何らかの感染予防効果があるかどうか、言い換えるとワクチン接種者が(症状がなくても)ウイルスを他の人に移すかどうかについては、試験で調べられていません。つまり、ワクチンが感染拡大防止に役立つかどうかはわからない、ということになります。
(5) 「免疫原性と発症予防効果との関連については、今後検討する必要がある。」
免疫原性とは、病原体やワクチンが体内に侵入したときに免疫反応を引き起こす性質や力のことを言います。ワクチンが免疫反応を起こす力と新型コロナウイルスの発症予防効果との関連性、つまり、ワクチンの効能を評価するために一番肝心なところが明らかになっていない、と述べています。
「今後検討する必要がある」、「長期の有効性データは引き続き収集する必要がある」、「十分な情報が得られていない」、「感染予防効果は評価されていない」。厚労省の審議の結果を読むと、ファイザー社の臨床試験では、ワクチンの効能についてわかったことより、わからないことの方が圧倒的に多いです。
ワクチンの販売や使用の特例承認を得るために、ファイザー社は臨床試験で一体何を調べたのでしょうか?
ワクチンの効果を証明するため、どんな基準や評価項目を設けたのか見てみましょう。まず、試験の参加者のうち新型コロナウイルス感染症になった人とならなかった人を区別するため、この病気の定義が必要です。ファイザー社の試験では以下の通りです。
「COVID-19 確定例は、以下の臨床症状を一つ以上認め、鼻咽頭スワブ検体の核酸増幅検査により、SARS-CoV-2 感染陽性と判定された患者と定義した。臨床症状:発熱、新たな咳嗽又は咳嗽の悪化、新たな息切れ又は息切れの悪化、悪寒、新たな筋肉痛又は筋肉痛の悪化、新たな味覚又は嗅覚の消失、咽喉痛、下痢、嘔吐。」(報告書 p.29)
こうした症状自体は、入院や集中治療が必要になったり、致命的な病気となることを恐れなければならないような症状ではありません。ほとんどの人は医療や薬に頼らずとも、自ずから治ります。入院や集中治療や死亡数を減らす、そしてウイルスの伝播を断つようなワクチンが求められているにもかかわらず、製薬会社はそのための評価項目を無視し、試験にいれていません。製薬会社が調べているのは、彼らが開発するワクチンが比較的軽い発症例を減らせるかどうか、ということだけなのです。この矛盾は、厚労省の専門家も認識しています。「以上の結果からは本剤の COVID-19 の重症化抑制効果は確認できていないが、これはCOVID-19の重症例が少なかったことに起因すると考えられた。」(報告書 p. 36)
どうして試験において重症例が少なかったのでしょうか。それは、ファイーザ社が「基礎疾患を有するフレイル患者」あるいは「COVID-19重症化リスクが高い可能性があり、SARS-CoV-2ワクチン接種の必要性は高いと想定される」病弱な高齢患者(報告書 p.58)を、最初からワクチン試験参加者に入れなかったからです。報告書の言葉を借りれば「臨床試験で組み入れられた基礎疾患は比較的安定した状態」でした。効き目のあるワクチンを最も必要としている、多数の基礎疾患を抱えた人々が、ワクチンの有効性試験から省かれているのです。この問題はこれまで開発された新型コロナワクチン全てに当てはまると、ワクチンの専門家たちによって去年の10月から指摘され続けています。
「新型コロナワクチンは命を救うか?現在の試験はこれを調べるためにデザインされていない。...現在行われている試験は、入院、集中治療、死亡などの重篤な結果の減少を検出するためのものではありません。また、ワクチンがウイルスの伝播を防ぐことができるかどうかについても研究されていません。」(PDF)
最も望んでいる効果について調べないという捻れた試験のレイアウトと実施に、ワクチンの意味と必然性を疑わざるを得ない、深い訳があります。新型コロナウイルスに感染して、一番重症化しやすく死亡率の高い人たちは、複数の基礎疾患をもつ高齢者です。病弱な高齢者にとってコロナウイルスは危険であるとよく言われていますが、これは正確な言い方ではありません。新型コロナウイルスは弱毒性の呼吸器系ウイルスで、ほとんどの人間にとって(風邪やインフルエンザっぽい症状になることはあっても)特に危ないウイルスではありません。病弱な高齢者がこのウイルスによって致命的な状態に陥る原因は、ウイルスの危なさにあるでのはなく、本人がこのウイルス(あるいは他の病原体)と戦うための十分に強い免疫力を持っていないところにあります。
そここそがワクチンの出番だ、と思う人が多いようですが、それはまるで違います。弱毒性なウイルスさえ抑え込むことができないほど、体調や免疫系が弱っている人にワクチンを打っても、免疫は上がりません。ワクチンは免疫力を上げるような薬剤ではなく、免疫系の反応を起こすことを目的としたものです。病気に対して十分に反応できないような衰えた免疫力は、ワクチンにも十分に反応できず、特異免疫を獲得できません。それどころか、体調が悪く免疫力の衰えたの人にとってはワクチン接種から受けた刺激が強すぎて、結果として死を招くこともよくあります。
厚労省の報告書も、その問題をはっきりと指摘しています。「基礎疾患を有するフレイル患者について、海外の使用許可後又は製造販売後に、因果関係は不明であるが、本剤接種後に死亡を含む有害事象が報告されている。当該患者における安全性情報は現時点で十分に集積されていないが、COVID-19重症化リスクが高い可能性があり、SARS-CoV-2ワクチン接種の必要性は高いと想定されるため、本剤接種によるベネフィットがリスクを上回ると医師が判断し、かつ被接種者本人又は代諾者が本剤の効果や副反応等を理解の上、接種について同意した場合は、本剤を接種することは可能である。」(報告書 p. 58)
もちろん、これは新型コロナワクチンに限った問題ではありません。ワクチン接種は予防薬でもなければ、免疫系全般をより強くする薬剤や処置でもありません。人間の免疫系と病原体もどきを対決させ、これによって特異免疫を作らせるような刺激を与える試みです。ワクチン接種を受ける人の免疫力が弱ければ弱いほど、ワクチンの有効性と効果も弱くなります。そのため、ワクチンの効能をよく見せたい製薬会社は、できるだけ高齢者や病弱な人を試験から省きたいのです。
新型コロナウイルスのために開発されたワクチンは背理的なパラドックスを抱えているようです。ワクチンをあまり必要としない(感染しても重症化しない)元気な人を対象とした試験で、ワクチンは多少の効果を示しました。しかし、ワクチンを一番必要とする、(重症化しやすい)病弱な高齢者にとってのワクチンの効果は、少なくとも製薬会社の試験の中では、検査されていないのです。この程度の出来栄えのワクチンを、国が莫大な税金を使って国民に広く強く推奨していることは、不思議に見えます。
ファイザー社のワクチンの有効性や効果はどの程度のものなのか、その有効率について、次回のブログで書きます。
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