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新型ワクチンの長期的安全性の問題
コロナ展望録。その13
6月から7月以後、新型コロナワクチン接種後の副反応に苦しんだ知り合いがいるという人も多いと思います。注射部位の疼痛、発熱、疲労、悪寒、頭痛、筋肉痛、悪心、関節痛、下痢、痙攣、アレルギー反応などの副反応がよく聞かれます。幸いこのような副反応は多くの場合早く治るし、長期的な健康被害をもたらすケースは少ないです。ただし、従来のインフルエンザワクチンと比べると、新型コロナワクチンの副反応は著しく多く、そしてきついです。新型ワクチンの毒性が従来のワクチンより強く、今まで一度も医療で使ったことのない成分を使ってバタバタと開発され、十分に練られた薬品ではない、ということを明白に物語っています。そのため、厚労省は総合評価として、新型コロナワクチンを「劇薬に該当すると判断」しました。「本品目は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断する。」(審議結果報告書、p.62)
どんなワクチンでもそうですが、劇薬であるところの新型コロナワクチンの一番厄介なリスク、最も真剣に受け止めるべき危険性は、重篤な健康被害をもたらす、ないしは致命的な結果に至る、長期的な有害事象です。ある程度長期的にも安全と言える、よく設計されたワクチンの開発には、大体10年から15年かかります。新型のコロナワクチンは非常に短い期間で組み立てられ、短期的テストしかされていないため、長期的なリスク(と有効性)については何も知られていません。厚労省はこの点もはっきりと指摘しています。
「現時点で本剤接種後長期の十分な安全性データは得られていないことには留意が必要である」「本剤接種後長期の安全性情報については、製造販売後に引き続き情報収集する必要がある。」(p.37, 43)
特例認証の下でワクチンの販売の許可を得るため、製薬会社は2カ月から3カ月半という短いスパンのプラセボ対照二重盲検比較試験(Double Blind Placebo Controlled Test)を行いました。プラセボ群とワクチン群を比較することで、ワクチンの短期的安全性や有効性についてデータを集めたのです。厚労省がもっと長期的なデータが欲しいのであれば、この短い試験をもっと長く続ける必要があります。もとはといえば、この試験は2年間続けるという当初計画がありましたが、製薬会社がそれを中止したのです。プラセボ群にワクチンを二年間も打たないでいることが倫理的に無責任だという理由で、3カ月間半の時点でプラセボ群を非盲検とし(プラセボ群にプラセボであるということを知らせて)、参加者全員にワクチン接種を提供して試験を終わらせました。被接種者と非接種者を厳密に比較することで、ワクチンの長期的安全性をある程度客観的に調べる可能性を、こうして製薬会社が意図的に潰してしまったのです。(PDF、p.2612、PDF、PDF)どうも製薬会社は、ワクチンの長期的安全性よりも、ワクチン販売による目先の儲けに興味があるようです。
では、ワクチンの長期的有効性と安全性についてのデータは、どのように集まってくるのでしょうか?「製造販売後、本剤は非常に多くの国民に使用され、多くの製造販売後の安全性情報が収集されると想定される。」と国の専門家は希望的に述べています。(p.59)この文書で婉曲的に「安全情報の収集」と言われるものを、よりストレートに表現すると、たくさんの人にワクチンを接種し、もともと元気な人たちのうちで接種後に起こる有害事象(副反応、健康被害、死亡)のケースを集める、ということになります。つまり「非常に多くの国民」をモルモットにすることです。
色々な理由によって、製薬会社と協働してワクチン接種キャンペーンを一生懸命に推進している人たちは、(前回のブログで説明したように)ワクチンのベネフィットをできるだけ大きく見せたがり、接種のリスクをできるだけ小さく見せたがています。この点において、ワクチン接種の実際の危険性やリスクを調べる時に、二つの注意すべき問題点を指摘する必要があります。(1)中立的な立場で管理されている、確実で信憑性の高い有害事象の報告システムがないということ。(2)報告されている有害事象、健康被害、死亡の調査と評価がびっくりするはど甘く、いい加減だということです。
(1)ヨーロッパ、アメリカ、日本などの国はワクチンの副反応や健康被害の疑いを報告できるシステムを設けています。(日本、アメリカ、ドイツ)。その報告システムは医者、医療従事者や個人の協力に基づくシステムです。(アメリカのVAERSと違って、ドイツと日本の報告システムは医者からの報告しか許されていません。)報告するかどうかは任意です。報告に至るためにはまず、「それがワクチン接種に由来する病気あるいは健康被害である」と気づく必要があります。接種のすぐ後に起こった短期的副反応の場合、素人にも専門家にもわかりやすいでしょう。しかし、接種から数週間、数ヶ月の後に生じる心臓及び循環器系の不調や、これまで経験したことのないアレルギー反応、神経関連の疾患(麻痺、痙攣)、さらには接種から数年後にはじめて現れた自己免疫疾患などで病院を訪ねても、医者を含め殆どの人は、この不調がワクチンと関係があり得るということを思いつきもしません。ワクチンの問題点や長期的に起こり得る副反応についての知識は、一般市民のみならず医者でさえも、驚くべき低さなのです。「なぜ医師はワクチンについて正しい知識を持てないのか」という問いには、新潟大学名誉教授の岡田正彦がウェブサイト上で回答を提示しており、これを読むことをお勧めします。(ウェブサイト、Q13を参照、)。
例えば5月の終わりまでに、オランダでは10万の接種回数に対して701の有害事象が報告されています。ドイツで報告されたのはたったの38です。(PDF)この統計は、オランダ人がドイツ人より18倍に敏感にワクチンに反応する、ということを意味するのではありません。オランダではドイツと比べて、医師たちのワクチン副反応についての知識と問題意識、そして報告システムの仕組みと使いやすさなどが理由で、報告数が18倍違うということです。ちなみに、僕の計算に間違いがなければ、日本では10万の接種回数に対して26の有害事象が報告されています。(PDF)
甘くルーズな報告システムのおかげで、ワクチンとの関連で起こる有害事象のうち、報告システムに上がってくるのはほんの少しです。2000年にアメリカ合衆国議下院に提出された政府改革委員会の報告書も、このシステムの改善を要求しています。(PDF, p.5, 15, 16)実際にワクチン関連で起こる副反応、健康被害、死亡の過少報告の割合を数字的に把握するのは非常に難しく、有害事象の1%ー10%しか報告されていないと推測されます。アメリカ医療研究品質機構(Agency for Healthcare Research and Quality)が出資した、2010年の研究(ウェブサイト、PDF)によれば、おそらく1%以下しか報告されていません。というのは、報告されている有害事象(副反応、健康被害、死亡)は氷山の一角しかありません。
(2)次に、報告されているワクチンの有害事象の疑いをどのように評価するのかという問題があります。報告された健康被害とワクチンに因果関係があるのかどうか。あるいは偶然接種後に起こった、他に原因がある不調や死亡なのか。その判断は、中立的機構ではなく、政府や製薬会社に雇われた専門家に任されています。そのため、岡田正彦が指摘するように、「きわめて稀」(extremely rare)という表現が、ワクチンの「副作用を論じた最近の論文の枕詞として使われるようになりました」。(ウェブサイト、Q15)
ワクチン推進派の偏りとバイアスの典型的な例として、ワクチンによる死亡者と新型コロナウイルスによる死亡者の数え方の基準の違いが挙げられます。ワクチン接種後の死亡の原因がワクチンであるとするためには、厚生省ははっきりとした因果関係の証明を求めます。その「因果関係が否定できない」報告しか認めていないのです。いうまでもなく、この「症状名との因果関係」の有否についての判断は、単に報告の文面にのみ基づくもので、聞き取り、解剖などの細かい調査は一切しません。そのため、殆どの報告を「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの」あるいは「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」として却下しやすくなります。(PDF)
ワクチンの場合とはまるで逆に、Covid-19の死亡者を数える際には「厳密な死因を問わない」という基準を設けています。「新型コロナウイルス感染症の陽性者であって、入院中や療養中に亡くなった方については、厳密な死因を問わず、「死亡者数」として全数を公表するようお願いいたします。 」(2020年6月18日の事務連絡、PDF)
これほど違った基準を拵えたことによって、新型コロナウイルスは実際より危なく見え、ワクチンは実際より安全に見えてきます。新型ワクチンの特例認証に係る、審議結果報告書の終わりの方で、厚労省の専門家が「本剤の安全性情報の収集、ベネフィットリスクバランスの評価及び公表について、高い透明性の下で迅速に行われること」の重要性を強調していますが(p.59)、上記のような問題点が明白である今となっては、「高い透明性の下」とういうのは舌先三寸にしか聞こえません。
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