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ワクチンに関する重要な潜在的リスク。VAEDについて
コロナ展望録。その16
新型ワクチンの実用の特例認証に際して、厚労省の専門家はワクチン接種による疾患増強(VAED)のリスクを指摘し、遺伝子技術を利用する全てのワクチンに共通する「重要な潜在的リスク」として取り上げました。(PDF、p.59)これについては製薬会社自体も、医療従事者向けに提供された「ワクチンの適正使用ガイド」の中で、「ワクチン接種に伴う疾患増強」を「重要な潜在的リスク」として認めざるを得ませんでした。(PDF、p.7)しかし不思議なことに、ワクチン接種済みのほとんどの人たちは、疾患増強という言葉を聞かされていないようです。
疾患増強は恐ろしい現象です:新型コロナウイルスに対するワクチン接種をした人が、接種していない人に比べて、接種したことが原因で、新型コロナウイルスに感染しやすく、重症化しやすくなることを言います。いわば逆噴射のような現象です。こうして、新型コロナウイルスの蔓延防止を意図して推進されたワクチンキャンペーンは、Covid-19 の蔓延増強の原因になってしまうのです。このことの一番悲しい点は、接種さえしなければ、新型コロナウイルスに感染しても大した病気にもならず、まして重症化することなどなかった元気な人や若い人が、ワクチン接種をしたがために、感染すれば病気を発症し、重症化する可能性が高くなるということです。
VAED の機序を極めて簡単に説明すると、こうなります:出来の悪いワクチン接種が、免疫系を部分的に混乱させます。この混乱した免疫系が、もともと敵として戦うべきウイルスを間違って味方として認識、歓迎してしまい、その敵(ウイルス)がよりスムーズに細胞や体の奥へ侵入できるように助けます。これによって、ウイルスはより簡単かつ速やかに繁殖できるようになり、感染や疾患が増強するのです。
もう少し詳しく説明します。ワクチン接種に伴う疾患増強(Vaccine associated enhanced disease、VAED)は、抗体依存性感染増強(Antibody-dependent enhancement、ADE)の一種です。ADEとVAEDを理解するためには、抗体の話をしなればなりません。旧型ワクチンも、遺伝子技術を使う新型ワクチンも、その最終的な目的は、人間の免疫系を、特定の病原体に対する抗体の生成へと刺激するところにあります。前回のブログでちょっと触れましたが、自然な感染の場合とワクチン接種の感染もどきの場合、免疫系の触発され方や反応が大きく違います。自然な感染の場合に免疫系は本物の、いわば完全なウイルスに触れますが、ワクチン接種の場合、ウイルスの一部にしか触れません。このことが理由で、ワクチン接種後に作られた抗体の中には、完璧な出来栄えの抗体もあれば、出来の悪い抗体も発生します。
出来のいい抗体は、体に侵入したウイルスに引っ付き、結合し、その毒性を中和し、ウイルスを無害化します(neutralizing antibody)。出来の悪い(不適切な)抗体は、ウイルスにきちんと引っ付きますが、その毒性を中和しません(binding antibodies)。ウイルスの毒性は残りますが、抗体と結合しているので、免疫系にとってこのウイルスは敵として検知されなくなってしまいます。むしろ逆に、ウイルスが(中和されずに)抗体と結合している(抗体に偽装している)ので、免疫系はこのウイルスを味方と捉え、細胞へのより速やかな侵入を促進します。免疫系の過ちによって、ウイルスはより早く、より簡単に細胞に侵入することが可能となり、感染増強と疾患増強を起こします。とりわけ、良質で適切な中和抗体が時間の経過と共に減少した時にウイルスに感染すれば、不良かつ不適切な、結合だけしてしまう抗体による疾患増強の可能性が高くなります。(PDF、PDF)
「潜在的リスク」という言葉が表すように、これまでのテストやワクチンキャンペーンにおいては、この疾患増強がまだはっきりと観察されていません。では何を根拠に、VAED や ADEを新型ワクチンの「重要な潜在リスク」として考えなければならないのでしょうか。答えは簡単です:その根拠は、これまでのワクチン開発の歴史にあります。特にウイルスに対するワクチン開発の長いプロセスの中で、ワクチン接種に伴う疾患増強が理由で中止されたワクチン開発があります。その一番有名な例は、RSウイルス(RSV)、デングウイルス(Dengue)、サーズコロナウイルス(SARS)とマーズコロナウイルス(MERS)に対するワクチンです。デングワクチンに伴うVAEDによりたくさんの子供がフィリピンで死亡したケース(PDF、PDF)を除けば、他のワクチンにおいては、幸いにも、その問題がワクチン開発のための動物実験あるいは臨床試験の段階で明らかとなり、人間に実用する前に開発が中止になりました。「ADEに関するワクチン開発上の障害」についてもっと詳しく知りたい人には、以下の解説をお勧めします。(ウィキペディア、PDF、PDF)
我々の文脈において大事なポイントは、SARS と MERSのワクチン開発というこれまでの長年に渡る試みは、常にVAEDという壁にぶつかって成功しなかった、ということです。新型コロナウイルスは、SARSウイルス・MERSウイルスと比べてその毒性は非常に弱いですが、構造という点ではこのSARSウイルスとMERSウイルスに非常に似た、ベータコロナウイルス(ウェブ)の一つです。MERSとSARSのワクチン開発において VAED の問題が表面化したのは、然るべき年月の必要な動物実験をきちんと行ったからでした。今回の新型ワクチンのような急拵えの開発では、こうした動物実験を飛ばしてしまっていますので、VAEDが潜在的リスクなのか、リアルな顕在するリスクなのか、ワクチンを受ける人を実験台にして観察するほかありません。(PDF、PDF)
ワクチン接種者が新型コロナウイルスに感染するケースは増えています。ワクチンの有効性が早々に(数ヶ月間のうちに)消えることは既にはっきりとわかっていますが、ワクチン接種による疾患増強(VAED)が起こっているとは断言できません。ただし、幸いにも疾患増強は単なる余計な心配だったとも、今の段階ではとても言えません。接種キャンペーンがスタートを切ってから、まだ十分な時間が経っていないからです。「重要な潜在的リスク」という警報を解除するにはまだ早すぎます。なぜかといえば、多数のワクチン接種者が生活の中で新型コロナウイルスと接触し感染して初めて、疾患増強(VAED)のリアルなリスクが見えてくるからです。新型ワクチンの安全性と有効性について人類がより賢い判断をできるようになるのは、おそらく二度の冬を越え、2023年の春を迎えた頃になるのではないでしょうか。
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