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ドイツの健康保険はホメオパシー医療をどう評価するか?
患者がどのような種類の、あるいは質の医療を受けられるのか。 医師はどのような治療を提供できるのか。その選択肢と法的枠組みは、(近代国家では)主たる三つのプレーヤーの力関係によって決まります:①医療の法的枠組みを決める政府の機関、②できるだけ多くの国民が、経済的に医療にアクセスすることを可能にする健康保険、③薬や治療機器を製造する製薬会社と医療機器メーカー。
患者はできるだけ早く、お金をかけずに病気から解放されたいものですが、この三つのプレーヤーはそれぞれ異なる利害を持っています。
健康保険の経営は、患者の気持ちにわりと似た利害原理に基づいて成り立っています。というのは、病気になる人が少なく、もし病気になってもできるだけ早く、安く、きちんと治れば、医療のコストが低くなるため、保険会社は黒字で経営ができるからです。健康保険にとって望ましいのは、効果的で、コストパフォーマンスが良い医療です。
製薬会社の利害は、それとは反対のところにあります。薬の売り上げが高ければ高いほど、会社の利益が上がり、役員や株主は喜びます。そのため、高額で長期的な治療の増加、言い換えれば、人々が頻繁に病気になること、その治療に長期の薬の投与が必要となることは、製薬会社のより大きな利益とつながります。
国や政府のスタンスは、上記二つの利害関係の間にあって、複雑でちぐはぐに見えます。 日本の医療費は国内総生産の 10%程度を占めているので、病気の治療や医療産業は、国の経済力の大きな要因です。他方、国民の生活の質や幸せを考えるならば、病人の数や病気で悩む日数が少なければ少ないほど良いということになります。元気な人の数や元気で過ごせる日数が増えれば増えるほど QOL が上がり、みんながより積極的に社会貢献や仕事ができるようになるからです。
しかし、国民の健康レベルが本格的に上がれば、つまり医療のニーズが減少すれば、医療産業は縮小します。そして国の総生産や税金収入も下がります。とはいえ、医療産業の経済力向上を目的とする政策は、国民が全体としてより病気になってほしいという望みに繋がってしまいます。政府は医療産業の隆盛と同時に国民の健康や QOL も求めたいわけですが、両方を同時に得るというのは矛盾しています。 そもそも健康とは、生き物にとって絶えず取らなければならないバランスですが、この無形の宝物を商品扱いし、お金儲けの対象にすると、こうした矛盾が生じます。
ホメオパシーの考え方と製薬会社の利害が相反することは言うまでもありません。ホメオパスは昔から、通常の西洋医学による薬害や副作用をよく知っているし、その使用をあまり勧めていません(BLOG)。また、ホメオパシーの単純で安いレメディーを使って病気を治す患者は、製薬会社の 「お客さん」 ではなくなってしまいますので、製薬会社はホメオパシーを競合するものとしてバッシングし、打ちのめそうとします。ホメオパシー医療が普及してからも、このことは変わっていません。ハーネマンの時代も、ホメオパシーを強くて不当に批判することでその普及を妨げてみたのは、医師たちよりも当時の薬屋さんでした。
逆に健康保険会社は、どちらかといえばホメオパシー医療を評価しています。ホメオパシー治療によって(通常の西洋医学と比べて)より早く、より安く治せるケースが沢山あるからです。過去のブログで、ドイツの健康保険制度を紹介しました。(BLOG)日本は国民全員が公的医療保険に加入することが基本ですが、ドイツでは私的健康保険と法的健康保険という二つの柱でできています。 ドイツでは、こうした健康保険会社との契約にホメオパシー治療も含めることができます。製薬業界の圧力団体は、ホメオパシーを国の医療の選択肢から外させるようなキャンペーンを時々行いますが、その都度、ホメオパシーを医療の選択肢の中で大事にして欲しいという声が健康保険会社から上がります。賛成 ・ 反対といった理論的な論争より、非常にドライかつ客観的に数字を見ながら、健康保険会社は医療の効率とコストパフォーマンスを判断しています。
一つの例として、Securvita というドイツ健康保険を挙げます。 Securvita は特に代替医療と予防医療をおすすめる健康保険として知られています。 複数年に渡って専門家たちから 「ドイツの一番良い健康保険」に選ばれています。
ホメオパシー医療の効率や経済性についてのデータを得るべく、Securvita は、ライプチヒの Gesundheitsforen 研究所に分析調査を依頼しました。 ホメオパシーと通常の西洋医学の医療の、経済性と効率について調査するものです。3 年以上ホメオパシー治療を受けた15,700 人の被保険者の健康と治療データを、ホメオパシー治療を受けていない被保険者と比較しました。2019 年 9 月 15 日に「長期研究:ホメオパシーは経済的で効果的です」というタイトルで発表された、プレスリリース(PDF)を抜粋して翻訳します。
「ホメオパシーによる医療は、従来の医療の、重要かつ効果的な補完です。日常診療において、ホメオパシーは、特定の病気に対して、純粋な西洋医学の治療と比べて、よりよい効果と経済性を示します。 Securvita 健康保険が実施した複数年にわたる診療研究によって確認された結果です。この研究では、健康保険に認証された、ホメオパシーの資格を持っている免許医師のところで、最低 3 年間定期的に治療を受けた 15,700 人の被保険者のデータを分析しました。この研究は、ホメオパシー使うグループが、入院、薬物消費、病欠などの経済的に重要なパラメータにおいて、従来の西洋医学治療を受けている比較グループよりも健康上の利点があったことを示しています。
例えば、子供たちは抗生剤を投与される頻度が少なくなりました。この傾向は特に幼児に非常に顕著でした: ホメオパシー治療により、抗生剤で治療された幼児の人数の割合は 3 年間の調査期間で 16.7%でしたが、比較グループでは 73.9%でした。アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息を持つ幼児たちは、対照グループと比べて、ホメオパシー治療のメリットが特に大きかったです。
成人患者においても、罹患率の減少やそれに伴う生活の質の向上という点で、明らかにプラスの効果が見られました。例えば、ホメオパシー治療期間中、癌や複数の病気を持つ患者では、鎮痛剤の使用が減少しましたが、比較群では増加しました。病院データの分析も、ホメオパシー治療の利点を示しました。たとえば、うつ病の成人の入院日数は、ホメオパシー治療の過程で 9.8%減少しました。それと比べて、通常の治療を受けた比較グループの入院は、32.6%増加しました。
この違いは、経済的に重要である、うつ病による就業不能期間という点でも確認されました。ホメオパシーによる治療期間中、就業不能期間は 16.8%減少しましたが、従来の薬のみによる治療を受けた患者では 17.3%増加しました。 ……
Securvita の研究は、従来の医学とホメオパシーの共存を支持する多くの論拠を提供しています。医師のホメオパシー追加研修は、いくつかの連邦州で最近決定されたように、中止されるのではなく、推進されるべきです。
この好結果の道を歩み続けるために、ホメオパシーを用いることのできる医師の数を減らすのではなく、増やす必要がありますと、Securvita 健康保険の理事である Götz Hachtmann は述べています。」(抜粋終わり)
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