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発熱について(3)解熱剤の利用
前回のブログ(リンク、リンク)では、免疫力がもたらす有難く有益な治癒反応として、発熱について説明しました。生命のバランスを脅かそうとする病原体に対して、免疫は熱という武器(防衛機能)をもって戦います。
こういう形で病人の体が一時的に戦場になります。自分の生命のバランスを脅かそうとする病原体と、そのバランス感染症で調子を崩すと、病人の体は一時的に戦場になります。生命のバランスを脅かそうとする病原体と、そのバランスを取り戻そうとする免疫系の防衛反応の戦いが起こり、熱が高ければ高いほどそれが激しく感じられます。このため、多くの人はしんどさを感じ、ぐったりします。このせいで、発熱は勘違いされています。つまり、熱は病気を治すための有益な味方ではなく、病気の一部であり、戦うべき敵であると見做されてしまい、病人は熱を下げたくなるのです。
19世紀の終わり頃、熱を効果的かつ簡単に下げることのできる解熱剤の工業的合成が可能になり、その服用は広範囲において速やかに普及しました。20世紀前半の代表的な解熱鎮痛薬がアセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid)で、ドイツのバイエル社の商品名「アスピリン」として知られているものです。20世後半には、イブプロフェン(ibuprofen)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、アセトアミノフェン(acetaminophen)、パラセタモール(paracetamol)など、それぞれの効能機構が違う解熱剤の工業的合成に製薬会社が成功し、一般的に使われるようになりました。(解熱剤の歴史について PDF)。解熱剤の売り上げは、世界中で継続的な成長が予想されており、解熱鎮痛薬の市場競争とマーケティング戦略は、苛烈なものとなっています。(PDF)解熱剤の売り上げは、世界中で継続的な成長が予想されており、解熱鎮痛薬の市場競争とマーケティング戦略は、苛烈なものとなっています。(PDF)
解解熱剤は人気のある薬です。最近日本では、処方箋がなくても、ドラッグストアで買えるたくさんの市販薬(OTC薬)があります。人気があるのは理解しやすいことです。大体の場合、服用すれば熱はわりと早く下がります。そして、多くの市販の解熱剤には鎮痛剤的な効能も同時に含まれているので、熱を伴う他のしんどい症状(頭痛、節々の痛さなど)が早く抑えられます。
解熱剤の服用により、患者の熱とそれに伴うしんどさは幾分和らぎますが、大きな問題がひとつ発生します。せっかく自然治癒力と免疫力が熱を上げて一生懸命働き出したのに、解熱剤がその働きに突然大きなブレーキをかけるのです。例えば、インフルエンザなどの感染病になった患者の免疫力が、ウイルスの繁殖を止めるため発熱を起こすとします。熱は、よろしくない侵入者に対する、一番効き目のある免疫力の武器です。ウイルスの勢いが発熱によって十分におさまった後に、熱は自然に引いていきます。この戦いに勝つ前に熱を人工的に下げると、体の免疫反応が邪魔され、遮断されてしまいます。自然治癒力がウイルスを処分するのに必要な熱が出せなくなるのです。このため、ウイルスはより長く活発なかたちで体に残ります。熱が下がったものの、病気は長引いてしまうのです。解熱剤に頼った患者から、よく次のような話聞きます。「熱はもうないですが、咳がなかなか治らない。」「病気は一応治ったみたいですが、スッキリしない。」「普通の生活を送れるようになったが、本調子ではない。」自然治癒力の働きを無理やりに止めた結果です。
殆どのアセトアミノフェン系の解熱剤の薬品情報に、「ウイルス再活性化」と「感染症を不顕性化」という副作用が記載されています。(PDF)つまり、感染症のウイルスに完全に打ち勝つ前に自己治癒力の働きを解熱剤で妨げると、ウイルスがもう一度活性化する可能性があるのです。それで病気が長引きます。
鎮痛剤的な効果も持っているので、解熱剤を飲めば、熱も、節々の痛みも、頭痛も、あらゆる病気のしんどい症状が鎮痛剤的な効果も持ちあわせているため、解熱剤を飲めば、熱も、節々の痛みも、頭痛も、あらゆる病気のしんどい症状が抑えられます。但し、発熱による対病原体の戦いを止めたため、感染症の病原体はまだ体に残っています。熱の抑制によって、病気がただ不顕性になっているのです。体がしんどくて、感染症の症状で苦しむとき、ほとんどの人は家で休養します。解熱剤を使うと、絶好調にはなりませんが病気らしい症状もあまり感じないので、普通の生活に戻ってもいいような気持ちになります。こうして不顕性の感染症を持った病人は、再活性化する病原体を保持しつつ、通常の生活に戻って人と交流します。その結果として感染症、特にインフルエンザやコロナのような、呼吸器を通じて広がりやすいウイルスによる感染病が、もっと広がる可能性が高くなります。解熱剤の服用は、個人の健康の回復にとっても、公衆衛生の観点からしても、あまり望ましい処置ではありません。
次回のブログでは、解熱剤を使用しない、ホメオパシーによる発熱への対応を紹介します。
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