Blog
2023.04.07
ホメオパシー概論ハーネマンと同時代の哲学者、イマヌエル・カント(Immanuel Kant、1724 - 1804)の(もしかしたら一番)有名な論文の中にも、肝心なところで「Sapere aude」というアピールが出てきます。ハーネマン本人はおそらく、カントのこの論文を暗に示すため、「Aude sapere」という題辞をオルガノンに付したと思われます。同時代の読者だけではなく、ヨーロッパの思想史を少しでも知っている人なら、「aude sapere」という言葉を聞けばすぐカントの名作「啓蒙とは何か、という問いへの答え」(Beantwortung der Frage: Was ist Aufklärung, 1784)が浮かびます。「啓蒙」という言葉は、フランス語の「lumières」ドイツ語の「Aufklärung」、英語の「enlightenment」の訳語で、日本語としてさほど一般に馴染みのある言葉ではないので、その意味もう少し見てみましょう。【蒙】は道理に暗いこと、覆い隠すこと、愚かなこと、無知なことを言います。
READ MORE2023.03.20
ホメオパシー概論ホメオパシー医学の基礎をまとめた大作『オルガノン』に、ハーネマンは「Aude sapere」(アウデー・サペレ)という題字をつけています。表紙に書かれたタイトル「医術のオルガノン」のすぐ下、ひときわ目立つ場所に、第二版(1810年)から第六版まで毎回この言葉を掲げています。「Aude sapere」はハーネマンの「オルガノン」の基調を表すと言ってもいい言葉です。そして、オルガノンを貫く精神はホメオパシーそのものであり、個々のホメオパスの心持ちにもなるはずです — 少なくともハーネマンの考えでは。残念ながら、ほとんどの英訳や邦訳にこの題辞のことは説明されていません。ラテン語の「Aude sapere」を日本語に訳すと、「知ることへの勇気を持ちなさい」「勇気を持って分別しなさい」「賢明になる勇気を出しなさい」「知恵を活かす勇気を持ちなさい」のような意味になります。あらゆる学校の門の上に刻んでもいいスローガンです。何があって、何のために、ハーネマンがこの題辞を選んだのか、もう少し探っていきましょう。
READ MORE
1)花粉症の歴史と発生について。
病気にも歴史があります。人類にとって古い病気もあれば、新しい病気もあるのです。結核は人類の最も古い病気の一つです。紀元7.000年前の新石器時代の集落で発掘された骨や、紀元3.000年前のエジプトのミイラからも、結核の跡が見つかっています。喘息のような症状は、紀元前2.500~1.500年ごろから、すでに中国やバビロン、エジプトの医学書に記述されていたといいます。コレラは少なくとも紀元600年前以降、インドのガンジス川や谷に存在し、19世紀の初めから疫病として広く蔓延したようです。現代の「花粉症」と呼ばれる病気は、人類にとって非常に新しい病気です。古代ギリシャやローマ時代、あるいはイスラム文化圏の医学書を見ても、花粉症の症状を示す病気は記述されておらず、当時は花粉症という病気は一般的ではなかったと思われます。花粉症の症状が、初めて医学の視野に入ったのは、
2017.02.28
ホメオパシー概論
"Homeopathy is a much misunderstood medical art."
「ホメオパシーは多く誤解される医術です。」
"Homoeopathy has not changed at all since Hahnemann founded it, and since it has not been affected by all the modern knowledge it is thought to be obsolete. Medicine, on the other hand, is advancing dramatically every year. But as I wander between Hahnemann’s Organon and modern medical journals, I conclude that homoeopathy started in advance and that orthodox medical knowledge has not yet caught it up."
「ハーネマンが確立して以来、ホメオ
2016.09.04
ホメオパシーを話す会
『ホメオパシの歴史的発展』
ホメオパシーは200年の歴史を持ち、欧米、インド、南米において、近代医学誕生の前にも、その後にも、病気になった時のメジャーな医学の一つとして、社会や医療システムに根付いています。このホメオパシー医学の発達と普及の背景に何があるのか。当時の医学や近代医学に対して、どのようなメリットがあって、ホメオパシー医学が確立したのか。今回の話す会では、この観点からホメオパシーの誕生と成り立ち、そして歴史的発展を語ろうと思います。
今年9月にベルリンに滞在したとき、一日遠足で、旧東ドイツにあるケーテン(Köthen)という街を訪ねました。ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach)が1717ー1723年に宮廷楽長を勤めたことから、日本のクラシック音楽のファンにも良く知られ、日本人の観光客も多い街です。あまり知られていないのは、バッハのおよそ100年後に、ホメオパシーの設立者、サムエル・ハーネマンが1821年から1835年までケーテンに住んでいたことです。引っ越しの非常に多い人生(20回以上!)の中、いちばん長く一カ所に住んでいたのは、ケーテンでの15年間でした。日々の忙しい診療の傍ら、ホメオパシーの研究を続けながら、「慢性病」(Die chronischen Krankheiten )の5巻、そしてオルガノンの第3、4、5改正版を出版しました。
READ MORE2014.06.12
ホメオパシー概論
セルフメディケーションとファミリーホメオパシー
自分のために自分でレメディーを選ぶセルフメディケーションや、親が子供や身近な人にレメディーを飲ませるファミリーホメオパシーについて書きたくなった理由は、日本独特とも言えるホメオパシーのスタンスにあります。というのも、クラシカル・ホメオパシーはその成り立ちや本質から見れば、今主流である西洋医学(近代医学)と対等な医学なのですが、この点について、これまで日本ではほとんど認知されずにきてしまったからです。ちなみに、西洋化のプロセスで日本で主流になった医学を「西洋医学」と呼ぶこと自体、僕には違和感があります。「西洋由来」という意味だとしても、近代医学には、いまだ西洋以外の国々(例えばアメリカ、日本)の研究者や医者も大いに貢献していますし、ホメオパシー医学も西洋由来医学の一つです。これらの医学を区別しやすくするため、それぞれの基本的な考え方を手がかりにして、「ホメオパシー医学」と「アロパシー医学」という呼び方にしたほうが正確だと思います。その理由や「ホメオパシー」と「アロパシー」という言葉の語源と意味については、簡単に以前のブロ
SEARCH
RECENT POSTS
MOST READ
TAGS
Covid-19 免疫力 過労・バーンアウト 花粉症 冷え性 火傷 肺炎 インフルエンザ 自然治癒力 コレステロール ガン・腫瘍 こころの病 アレルギー サプリメント similia similibus コロナ 健全な食生活 予防接種 VAED レメディー ワクチン 予防 介護 痛み クラシカル・ホメオパシー Hahnemann マイクロバイオーム 健康保険 薬害 modality 歴史 名ホメオパス 正名 アトピー 副作用 医療とお金 医食同源 Heilpraktiker アロパシー 映画 対症療法 オーガニック 微生物 病気の原因 心と体 心臓病 セッション 感染病 放射線 救急処置 救急医療 本 根本治療 Less is More 障害 歯 治癒 喘息 熱 環境汚染 傷・怪我 生命力 牧畜のホメオパシー 発達障害 登校拒否 リハビリテーション 終末医療 ポテンシー 共生 自然医療 妊娠中のエコー検査 認知症 ADHD 風邪 コンビネーション・レメディー